東日本大震災から4週間、懐かしい未来を創らねば! <Emileのコラム69>
東日本大震災から4週間が経ちました。「歴史に学ぶものなら誰でもわかるように、理性が人を動かさない場合には、実際の出来事がそれを行うのです」とミヒャエル・エンデは言ったそうです。まさにその通りかもしれません。各メディアが一斉に報じる「順調に復興している」とのアナウンスは現場に出かけるととても納得できるものではありません。いえ、津波の被害を受けていない我々も、無論、ガスもまだ復旧していないようなこととは別に、余震の続く中、胃の淵に重い鉛を溜め込んだような気分からなかなか脱しきれません。
これからは、エネルギーの使用に関する制約が恒久的に続き、震災以前に戻ることはあり得ないでしょうし、あってはいけないとも思うのです。同時に、資源に関しても、エネルギーと表裏であり、その利用は制限されることにもなります。加えて、日本は地域により50Hz(ヘルツ)(東日本)と60Hz(西日本)の電気を配電しており、お互いに融通しあえる量は100万KWで、東京電力の不足分を補う事は不可能です。今回の事故で、東京電力の出力が3,350万KWに落ち、予想される需要に対して、500〜1,000万KW不足、また、夏場6,000万KW(東京電力管内)の利用を前提に、国は輪番制を企業に対して既に発動、電力使用を制限する準備に入りましたが、生活者に関しては、15%の節電を呼び掛けているに過ぎず説得性は極めて弱いように思います。
このままでは、企業と生活者の間にエネルギー・資源を原点とする価値観の齟齬が起り、企業はサービス業・製造業共に縮こまり、生活者間には我慢やそれによる倦怠感が蔓延し、市場は冷え切ってしまい、わが国の精神的な部分も含め国力は低下することも間違いないでしょう。
今まさに、エネルギー・資源の消費を震災前の50%にするための、新しい企業―市場―生活者をつなぐ価値創出が必要なのです。それは、ライフ・スタイルのパラダイムシフトを起爆剤とする、高付加価値・ロングライフ・高利益率商材による市場の創成であり、それに基づく企業の新しいものつくりのかたちの創出だと確信しています。
すでに、ライフスタイル研究を通して、潜在的に楽しみやコミュニティー・コミュニケーションを生活者が高い割合で欲していることは明らかです。また、多くのヒアリング調査(懐かしい未来)から具体的な楽しみやコミュニティー・コミュニケーションのかたちについての議論も進めており、ライフ・スタイル・パラダイムシフトのシナリオを全力を挙げて書かねばと、強く思っています。また、そのライフスタイルを基盤とした、求められるテクノロジーに関してもすでに研究が進められており、さらに積み増しし、システムとして仕上げて行く必要はあるものの、共有電池、家庭の微弱エネルギー利用システム、水のいらない風呂、家庭農場、マイクロ風力発電機、調湿壁材・・・・など実用化レベルに達しているものも見えてきました。
問題は、生活者のエネルギー利用に関する意識をどう高めるかという事です。企業にのみ制約を加える現在の手法では不十分で、生活者(民生部門)にも如何にしっかりとした制約を掛けるのか、その制約の中で如何に心豊かに暮らせるかがセットになって初めて、新しい企業―市場―生活者をつなぐ価値創出が可能となるのだと思うのですが、この部分が今一つ答えが見つかりません。是非、多くの方にヒントを頂ければと思っています。是非に、是非にお願いします。
もうひとつ、最近強く思っていることがあります。すでに2006年にオイルピークを過ぎたことをIEAが認めており、多様な物資のマイレージが今後大きな足枷になることは明らかです。御存じのように、日本の1次産業のGDPは1.5%に満たないほどです。これを経済的な価値のみで測れば、何とも哀れなものに見えてしまいます。しかし、そこには失ってはならない、人の生の根源的な記憶があるのです。それを認識した新しい物差しで評価するダブルスタンダード視点で、食糧自給率100%以上を誇る東北エリアでの1-2-3次産業が連関した(動脈も静脈も自己完結する)小さな循環型ユニットをつくるべきだと思っています。そしてそれら小さなユニットが緩くつながり大きな循環型社会に、そして、そこに関与する人たちが心豊かな暮らしを担保されることにより、持続可能な社会に移行できる可能性を探したいのです。
You-tubeに震災復興プロジェクトのインタビューが掲載されています、今回のコラムの内容に近いものです、見て頂き、御意見を頂ければ幸いです。
http://www.youtube.com/watch?v=uu68bpFSWoo
http://www.youtube.com/watch?v=yW1pJ_2NvWY
http://www.youtube.com/watch?v=CoRbdevOVL0
2011年4月10日
このページの最終更新日:2011年04月20日

