震災復興のためには首長はエネルギー消費60%宣言を! <Emileのコラム72>

<今日は長いコラムになりました、お許しください!>
 研究室の学生たちが、自分たちの足で震災後の被災地を歩き、これから何を考えなければならないのか彼らなりに考えた結果を研究室のHPにアップしました http://ehtp.kankyo.tohoku.ac.jp/ishida/。稚拙な部分も多くあると思いますが、彼らなりの思いをしっかり受け止めたてやりたいと思っています。ご意見などあればどうぞ頂ければ幸いです。同時に、研究科で『先取りしたい2030年のくらし』パンフレットも隔週で発行を開始しました。印刷を除き手造りの冊子です。多くの震災現場を回る中で見つけた暮らしのかたちとテクノロジー、例えば家族が仲良しになると20%もエネルギー消費が下がるとか…そんな当たり前のことをもう一度見つめ直して欲しいと思っています。すでに『明かり編』『冷房編』を発行、次は『食編』です。http://www.kankyo.tohoku.ac.jp/2030kurashi/2030_1.pdf http://www.kankyo.tohoku.ac.jp/2030kurashi/2030_2.pdf からダウンロードもできますし、連絡頂ければ印刷物をお送りします。

 震災復興のたくさんのプロジェクトが動き始めました、多くの首長が復旧ではなく復興であるともおっしゃっていますが、残念ながらその違いはなかなか明確ではありません。震災をばねに復興するということは、制約というバネの縮の中で知を結集する事ではないかと思っています。その制約のひとつは、間違いなくエネルギーです。限られたエネルギーの中で豊かな暮らしをつくることこそ、わが国の力となるだけでなく、エネルギーの無い我が国がこれから成長するアジアの国々の範として尊敬されることにもなると考えています。
 そのためには、現在の70%のエネルギー消費で、今まで以上の豊かな暮らしを徹底的に考えることを基本とし、それを世界に先駆けて首長が宣言することが重要だと考えています。 

 そのためには、テクノロジーと人との関わりを改めて考える必要があります。
テクノロジーは人を豊かにするためにありますが、どれほど豊かになっても我々が自然の中で生かされていることには変わりはありません。その関係を崩せば、我々自身の手で文明崩壊の引き金を引くことになります。テクノロジーが人を豊かにするのではなく、人が人を豊かにするのであってその補機としてテクノロジーがあるのだと思います。送らせて頂いたパンフレットにもありますが、家族が仲良くなるだけで20%や30%のエネルギー消費を抑えることは可能です。我慢ではなく心豊かにエネルギー消費は抑えられるのです。
無論、それと並行したテクノロジーの投入が必要です。
 原子力発電分を自然エネルギーに置き換えるには多くの困難な問題を解決しなければなりません。まず、しなければならい事は暮らし方を少し変えてエネルギー消費を下げ、これと並行して新しい社会性を持ったテクノロジーの投入が必要なのです。現在検討中の大型風力発電機を否定するものではありませんが、それだけではないと考えています。立地条件に合わせて色々な形の発電システムを検討すれば良いように思います。何かと何かを置き換えるのではなく、街の特徴や、新しいライフスタイルに合わせたテクノロジーによるエネルギーの多様性を認めることも重要な考えと思います。社会性を持ったテクノロジーとは、その装置そのものの性能ではなく、テクノロジーが活かされた時の人の満足感まで含めたトータル性能を評価できるテクノロジーということです。一見無駄なテクノロジーも存在できる時代と言えるかもしれません。

 重要なことはエネルギーを経済視点だけで考えてはならないということです。
 エネルギーは上手に創って、上手に使わなければなりません。何十万キロワット創って、いくらで売れたかという話は聞きますが、その電気がどれだけ有効に使われたかという話はなかなか聞きません。自分たちで創った電気は可能な限り自分たちで使い、余れば中電に売るというスタンスで考えることも重要だと思います。そう考えると複層型のエネルギー戦略が見えてきます。多様なエネルギーを立地条件に合わせて組み合わせ、大きな風力発電もあっていいし、風速20cmで回り始める直径1mほどの小さな風力発電機が軒先でくるくる回っていても構わないのです。自然を往なす、柔軟なしたたかさが必要です。

 同時にエネルギーの使い方も創りたいと思います。
 風力発電機で起こした電気は動力です、生まれたときに使わねばあっという間に消えてしまう旬のものです。この旬のものを有効利用するために色々なことが考えられていますが、1日1世帯が必要とする約10kwh分のエネルギーを溜めて使う必要はありません。現実には誰もそんな使い方をしている人はいません。まずは1kwの電池で良いのです、軒先でくるくる回る小さな風力発電機や小さな太陽光パネルから、風が吹いたら、太陽が照ったら発電する脈動する動力を1kwの電池に溜めながら、一方では使えばよいのです。バケツに水を溜めながら下からちょろちょろと使うように… 20万円もかからずシステムは組みあがります。お金が溜まればもう1kw分の電池を増やせばよいのです。足らなくなったら、中電の電気を使えばよいのです。エネルギーの多様性は使い方にもあるように思っています。これと組み合わせ、家庭のエネルギー消費にキャップを掛けて、努力した分をCDMに組み込むことも考えられます。我慢ではなく、楽しく努力する仕掛けも考えられます。

 日本の電気代は高いそうですが、絶対評価をすればそうでもないかもしれません。例えば学生たちが1時間、一生懸命自転車を漕いで約50wh発電することが出来ます。電気1kwhは約20円ですから、50whでは1円です。1時間アルバイトして何と1円なのです。これではエネルギーの価値を理解するのも大変かもしれません。いっそ、彼らのアルバイト代が払えるように50wh 1000円とすると、1kwhが2万円になります。コンピュータ1時間使うと2000円、ドライヤ10分使って1000円……

2011年6月13日

このページの最終更新日:2011年06月14日

↑ページ先頭へ