80人の天使たちへ!<Emileのコラム53>

 私がお世話になっている環境科学研究科だけの慣例なのだろうか。毎年卒業式の日の夕刻から、(主には)研究科の卒業生たちが他の研究室を回る、まさに回遊の慣わしがある。その学生たちを迎えるために、各研究室では後に残る学生達が中心になって工夫を凝らし、酒を、そして、食べ物を準備するのである。17時頃になると各フロアーからさまざまな匂いが漂ってくる。そのうち、餃子、焼き鳥、モツ鍋の匂い・・・学生たちの笑い声などが複雑に交じり合い、時として目の前をなんとも異様な格好をした学生たちが走り過ぎてゆく・・・今年は、そんな3月25日の雪の日を楽しみ、喧騒の過ぎ去った翌日の静かな研究室で、改めて巣立って行った学生たちと過ごした日々を実感した。
 その1週間ほど前、東京調布市の調和小学校へお邪魔した。とても熱心な理科の先生K女史の熱意に負けてというのが正しいところである。卒業を真近にした6年生80余名の小学校最後の理科の授業を担当させて頂いた。90分間、これからの新しい次代を担ってくれる子供たちに、精一杯、すばらしい自然のメカニズムと新しいテクノロジーや暮らしかたの有り様について話をさせて頂いた。小学生はいつも元気がよい、卒業を控え、なおさら心が弾んでいたのかもしれない。質問をすれば、我も我もと手を挙げてくれ、楽しく驚くような考えを聞かせてくれる。こちらもワクワクドキドキである。1週間ほど後だったか、きれいな黄色い表紙に製本された全員の感想文が送られてきた。
 表紙にはカタツムリの絵までついている。その最初の1ページをめくって驚いた、さらに1ページをめくって目頭が熱くなった。ページをめくる毎に、そこにはとても素直で、直接心に響く、そして涙が出るような言葉が溢れるように並んでいた。「私は自然のすごさにとてもおどろきました。確かにエアコンを使えば使っているときは楽です。でも、未来の自分や地球が困ってしまいます。だから自然を利用して、未来の地球を守っていくんです。自然がただで、1円もお金をかけないで私たちの生活をささえてくれているんです。だからこそ、私たち自身がその自然を守っていかなければならないのです・・・・」、 「自然が自分たちの生活でいかせることや技術発展のために使えるなど、身近でも自然とふれ合える事を学びました・・・」、 「今地球ではさまざまな問題がおきていて、原因は私たち人間だということを学びました。それを防ぐには、一人一人の取り組みが必要といわれ、私にもなにかできるのではないかと思わず夢中で考えました。・・・」 何と素直な、そして澄み切った素晴らしい心を持った子供たちなのだろう。この子供たちの思いを掬い取ってやることこそが、我々の本当の役割なのだと、改めて思うのです。そして、こんな心を持ったまま何とか大人になって欲しい気がするのです。 もう一つ嬉しい話、「理科が苦手だったけど先生のおかげで好きになれるような気がします。」、「私は、理科があまり好きではなかったけれど、理科っておもしろいなと思えるようになりました」 きっと自然を大きな視点で見直すことは子供たちを理科離れから救うのかもしれません。出来れば、感想文のすべてをここで紹介したいぐらいです。それらはすべて私たちの心を洗ってくれる素晴らしい天子の声だと思うのです。
 あらためてこのような時間を創ってくださったK先生へ、そして80人を超える天使たちへ心から感謝!!!
    
2010年3月31日

このページの最終更新日:2010年04月12日

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