「あしび、あしび、いっぺあしび (遊べ、遊べ、もっと遊べ)」 <Emileのコラム59>
今、沖永良部島からの帰りの飛行機の中でこのコラムを書いている。今年の島は、7月末でも海はまだ夏色をしておらず、雲も夏の雲ではない。この時期にはおさまっているはずの南風が吹き続け、波は高く、折角、我が酔庵の小さな船「酔庵IV」を港に浮かべるものの漁にも出られず、ぷかぷかと風に揺られているばかり・・・やっと夏らしい日射しが戻ってきたのは8月も2日を過ぎたころからだろうか、それも日に何度も強烈なスコールを伴うという亜熱帯並みの異常気象である。東京では1876(明治9年)以来はじめての連続熱帯夜記録(7月15日から)を更新、エアコンの売り上げが昨年比300%などと聞くと、いよいよ環境劣化が尋常でないレベルにまで達したのではと感じてしまう。
8月4日に開催されるシンポジウムのため、3日、大和人11名が真夏の沖永良部島へ到着、早速、島内調査、夕刻には島の方々と親睦会を開催。4日午前も島内調査を継続し、午後から第2回沖永良部シンポジウム「なつかしい未来をつくる沖永良部の心 あしび、あしび、いっぺあしび」を開催、会場には100人を越す方々が集まって下さった。
昨年度、第1回シンポジウムの振り返りを古川先生にお願いし、開催趣旨を石田が説明させて頂いた。現在の先進国と同じ暮らしをすれば、地球がいくつも必要となるが、むろん、それは一つしかないこと。そのためには、我慢しないで心豊かに暮らしながら物質的な肥大化を縮小しなければならないこと、その解は江戸の暮らしかたにあり、「遊び」を高度に醸成させた江戸の粋の文化にあることを話させて頂いた。島には日本が失ってはならないその「遊び」の心が脈々と流れているのではないかとの問題提議をさせて頂いた。
それを受けて、場所文化フォーラムの代表であり、「にっぽんの・・・」「とかちの・・・」の大店長をおつとめの吉澤保幸氏に「豊かな地域を考える いのちを繋ぐお金の役割から」と題して基調講演を頂いた。お金がお金を生む矛盾、お金の質を「いのちをつなぐ道具」に変える新しい価値観の創生、特に、大都市と地域との関係性、地方対都市の新しい概念、そして、それらを繋ぐことができる農水漁業の新しい役割が新しい暮らしかたのかたちを提供することなど、多くのキーワードを頂いた。そして、沖永良部島はIターン、Uターンの聖地を予感させ、これからも関わることになることを予感させると締めくくって頂いた。
島人からは、2つの講演を頂いた。芋高生三氏には、島の大変な生活苦からの大農場経営の歴史を基盤に豊かであることの質についてお話頂き、山下芳也氏からは、海がめネットワークがつくる新しいコミュニケーションについてお話頂いた。
最後に企画したパネルディスカッションも含め、大変興味深い多くの切り口を頂いたと心から感謝している。
8月7日は町祭り第1日目、18時からのパレードに続き、小さな通りには、屋台や演芸会場が並び、多くの島人が皆満面の笑みをたたえて、唄い、踊り、しゃべり、飲んでいる。あちらこちらから湧いてくるような島歌と笑い声が街を包み、なんともゆったりとした時間が流れている。何かまだよくはわからないが、やはり島には凄い力が眠っていると思う、この日本が失ってはならないものが脈々と息づいている。それは何か・・・探し続けたいと思う。
2010年8月8日
このページの最終更新日:2010年08月09日

