「岩木のお山はでっかかった!」        <Emileのコラム51>

東北ポリテクニックビジョンのお誘いを頂き、青森県五所川原まで出かけた。東北地域のポリテクカレッジ(職業能力開発大学校)が一堂に会し、研究発表、作品、技能を競うものである。三村青森県知事や平山五所川原市長も出席され、2日間に亘り開催されるが残念ながら参加は初日のみとなり、木のからくり作家でいらっしゃる高橋みのるさんの講演「からくりに見る粋なものづくり」が聴けなかったのはとても残念である。一度、八戸の工房にお邪魔させて頂きたいと思っている。高橋氏の作品は精緻でありながらとても暖かい作品ばかりである。初めてお会いして、そのお人柄が作品を創っている事をあらためて思い、とても豊かな心持にさせて頂いた。
津軽の地吹雪を不遜にも期待していたが、当日は快晴、雪のまぶしい白さの中にくっきりと浮かぶ岩木山の麓につながる緩やかな稜が美しく際立っていた。

ポリテクのテーマ「ものづくり大いなる未完と希望」は、生誕100年を迎える太宰治の小説「津軽」の一節から取ったものときいた。とてもすばらしく、考えさせられる言葉である。「津軽」の主人公は津軽半島一周の旅の中で「津軽の大いなる未完と希望」を感じたのであろうが、私は、今、帰りの列車の中で、もう一度その言葉を反芻している。
 イギリスでの産業革命を成功に導いた自然観との決別によるテクノロジーである地下資源型テクノロジーが世界を席巻し、あらゆる国や文化がこれを受け入れざるを得なかったことは歴史が物語っている通りである。そしてそのテクノロジーが、世界のすべての人たちを幸せにし、私たちの夢を叶えてくれることを誰もが疑わなかったこともおそらく多くの方が納得してくださるのではと思う。私自身17歳のとき、電車を乗り継ぎ大阪万博(1970年)に出かけたときの感動を今も鮮明に覚えている。テクノロジーのすばらしい世界にあらゆる人が酔いしれ、それらが生み出す将来の世界に不安を持つものはいなかったのではなかろうか・・・ そして今、われわれが信じ込んでいた夢のテクノロジーが地球環境問題というとんでもない荷物を背負っていることにやっと気がついたのである。夢のテクノロジーは所詮夢であって未完のテクノロジーだったのである。産業革命以来、この250年の間、ずいぶん高い授業料を払ってきたものだとつくづく思う。次の世代への責任として、そろそろ、その成果を出さねばならないだろう、すぐそこに「希望」があることを、次世代のために我々が明らかにしなければならないのである。人間ほど有能なものはない、人間ほど有害なものはない・・・だからこそ、大いに希望もあるのである。そしてもう一度咀嚼しなければならないだろう 「私たちは欠乏の故でなく過剰のゆえに苦しんでいる」(賀川豊彦1937)ということを・・・

2010年2月19日

このページの最終更新日:2010年02月22日