「東北発てりむくりの世界」<Emileのコラム44>

某社主催環境セミナーのパネルディスカッションに参加した。400人もの方に御参加者頂いた。テーマは、(とても長くてくどいので省略!要約すると)環境側面から東北をどう活かすか? 久しぶりに噛み合わないバラバラのパネルディスカッション・・・いや、噛み合っていなかったのは僕だけかもしれないが・・・・(大笑い!)
今、世の中あらゆるものがエコになっている。一方では、生活者の環境への意識は急速に向上し、でも、地球環境問題は良好な方向へ向かっているか? 残念ながら、どんどん劣化を続けている。このままでは、温室効果ガス削減目標−25%は無論、-8%だって達成できない可能性のほうが大きいのではないかと思う。
今、本質が何かを改めて問われているのである。本質は無論ライフスタイルそのものが問われているのである。そしてライフスタイルの変化を誘発する産業構造が問われているのである。テクノロジーについてはさておき、どのような産業構造が考えられるだろうか。例えば、東北のGDPは日本の7%、面積は18%、人口8%である。そして食料自給率は80%を越える。東京の1%とは大違いなのである。大企業は少ないが東北に本社を置く中小企業約1500社はしっかり地元に根ざしている。以前、CSR調査のお手伝いさせていただいた折、東北地方の中小企業が1)ものづくりは人づくり、2)事業発展と地域社会発展の両立、3)取引先とともに成長という3つのスタンスを持ってしっかりと地元に根付いていることを知って感銘を受けたことがある。東京や世界にばかり目を向けているのは、どうやら霞ヶ関の出先機関やそこから来た人々、我ら東北大学の教員をはじめ、物知り顔の知識人やメディアではないのかと最近思っている。 
今、食の地産地消がよく取り上げられるが、食だけではなく1,2,3次産業連携の地産地消が考えられないだろうか。食の地産地消、ものづくりの地産地消、サービスの地産地消がひとつになった新しい産業形態である。そこで作ったいろいろなものは、東京のためでも世界のためでもない。自分たちのためのものである。余れば東京へ出してもいいし、欲しければ東京から買いに来ればいい。そんな地域の小さな循環がいくつも繋がりつながり大きな循環になってゆけばよい。もちろんこのためには、銀行は本来の役割、すなわちお金を活かし回してゆくことを思い出していただかねばならない。地銀も農協も金貸し業からそろそろ足を洗う良い機会なのである。松岡正剛さんが、どこかで日本の文化は、照り起くり(てりむくり)を基盤としていることを書かれていた。破風屋根しかり、日本の文化は凸凹の連続であり、正と負の連続であり、引き算の文化なのである。そこから塩梅や、加減の文化が生まれたのである。自分だけ一人勝ちするのではなく、金だけを幸せの尺度にせず、塩梅良く小さな循環をつくらなければならないときなのである。
世の中あらゆるものが便利になってゆく、でも、忘れないで欲しい、便利なだけの世の中では、達成感も充実感も満足されない、味気も何もない。便利なだけの世の中では、何せ人間が何も役割を持たなくなってしまうのだから・・・・・そんな人生を創るために、休みもなく働くなんて、どこか可笑しいのだと気が付かなくてはならない。

2009.09.013 Emile H. Ishida

このページの最終更新日:2009年09月14日

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