IPCC4が教えてくれること II
では、これらの結果が我々にどのような影響を与えるのか?
4月6日の第二作業部会の最終草案は、対策を講じなければ、2050年代には、温暖化の影響で飢餓に陥る人口が、最大で1000万人増加すると指摘。また、世界で安全な水を利用できないのは現在11億人だが、飲料水やかんがい用水の不足に困る人たちは年々増え、この被害人口が50年代にさらに10億人単位で増えるとした。気温が1990年比で約1℃上がれば、水不足の被害人口が全世界で新たに数億人も増え、約2℃上がると地球上のサンゴ礁のほとんどが白化し、全生物種の20-30%が絶滅する危険が高まるらしい、
気温が1990年と比べて2-3度上昇すると、すべての地域で温暖化によるコストが増えるとした。さらに、人口が集中するバングラデシュなどアジアの大デルタ地帯や、太平洋の島国などで海面が上昇すると、高潮や洪水で大きな被害が出るほか、北極では温暖化で自然環境が特に大きく変化しかねないと分析している。しかしながら、100か国以上の政府代表、科学者が中心となってまとめたこれらの警鐘は、温室効果ガスの排出量が最も多い米国、中国、サウジアラビアなどの反対に会い、大幅に修正され、具体的な数字はほとんど公開されない結果となった。
経済と環境のデカップリングが望まれて久しいが、この場に及んでも短期的な国益を優先せざるを得ない浅はかさには、正直失望させられた。人の心はイナーシャを伴う、今日あることが明日も続いて欲しいと思う気持ちは誰もが同じであろう、ただ、いつまでも頬被りをしてみて見ぬ不利を続けていても、明らかに手を付けられない方向へすべてが加速しながら向かっているのも事実である。2006年10月に公開されたスターン報告書は地球温暖化に対する経済的な側面から対策を講じない場合のリスクと費用が世界の年間GDPの5%強であり、より広範囲な物も含めると損失額は20%になる。一方対策を講ずる場合、温暖化ガス濃度を二酸化炭素換算で500-550ppmに維持するには世界のGDP の1%で対応できるとし、この10-20年間の投資が21C後半から22Cの気候を左右すると報告している。IPCCのパチャウリ議長が4月6日の会議閉幕後の記者会見で、「気候変動の影響を最も強く受けるのは貧しい人々だ。気候変動と貧困問題と関連づけて考える必要がある」と警告したのは、唯一の抵抗だったような気もしている。
2007.04.10
このページの最終更新日:2007年05月07日

