オペラ みづち

 昨夜、やっと12万字の原稿が手から離れた。編集者の一言「第7章を第1章にして構成を変えましょう・・・」で、最後の数日間また頭を痛めることになったが、ほとんど新幹線や飛行機での移動中に書き上げた原稿である。きっと瞬間集中力の鍛錬になったと思う(笑)。8月末には、お手伝いさせて頂いた東日本放送開局60周年記念番組「青い地球を守るために」の放映が無事行われた。人間にとっての地球環境問題とは、人間活動の肥大化であり、地球温暖化や資源エネルギーなどの劣化はその結果であるというスタンスで、具体的な解決策を実際に探してみようというものである。従来とはかなり異なるアプローチで、プロデューサーのT氏には随分ご負担をお掛けしたが多くの方から良い御評価を頂いた。沖永良部島の皆さんにも参加頂いた、相変わらず物怖じしない人たちである(笑)
 
 さてサブプライム問題がますます膨張している、今年2月、一橋大学の伊丹先生から、被害は4京ドルに相当するというお話を伺った。そのときは何のことやら・・・・どうやら、その話が現実味を帯びてきた。お金に利子がつくなどという価値変化はこの100年のことだという、虚の世界が現実を支配するなどということはあってはならないとつくづく思う。日本では、そんな中での総裁選挙である。この国のかたちをどうするのかは、残念ながら一切見えてこない、景気回復のために何をするのかも相変わらず見えてこない。このままでは、従来と同じ建設土木へのばら撒きで景気の回復を計るのか、そんなレベルでは、いよいよこの国の将来は・・・・と思う。一方、この選挙のお陰で私自身、多くの皆さんに御迷惑をお掛けすることになった。総裁選立候補のK女子に10月の講演を依頼していたのだ。1年近く前から、色々と打ち合わせし・・・・1000人近い市民の方や研究者に集まって頂き、徹底的に地球環境について考えようという企画だったが、あっさりとキャンセルになってしまった。実にあっさりである。政治家というものは・・・・どうも優先順位が違うらしい。国民のための大儀とは、わが身の置き所をつくることなのだろうか・・・・(苦笑)
 
 本題に入るのが遅くなってしまった。8月下旬、前橋市で「オペラ みづち」を観た、2回目である。友人の(叱られるかな??)詩人、丹治富美子さんの脚本である。突然襲った日照りに苦しむ黒姫山の裾野で暮らす農民たち、その日照りが実は水をあやつる精霊「みづち」が押黒族に捕らえられた結果だと知り、村の住人の一人、小太郎が幾多の困難を越え、その救出に向かうという話である。「己の私利私欲のために、自然の営みを破壊してはならぬ。この美しい地球(ほし)を守り、永久に伝えるように」との天からのみづちの声が響きクライマックスを迎える。
 
 日本人の心を写した素晴らしい話である。ものを大事にするとは、人工物だけを対象とするのではなかろう。自然の完璧な循環を妨げず、命をつなぐために、その中のものをどうしても必要なだけ、ほんの少しお借りする。自然に畏怖し、自然の恵みに感謝しながら生きることが、日本の独特の文化を創り、人工物でさえ、職人の魂がこめられた神宿るものとして我々は見ることが出来るのである。そして、折々に感謝し、時としてそれを祭りのかたちで発散するのである。なんと素晴らしい文化なのだろうと思う。多くの方が、色々なことをお書きになっているが、本質的にこのような文化が日本の中で崩れ始めているとは個人的には思わない。戦後、欧米型の教育が徹底され、欧米崇拝の努力が重ねられても、子供たちを見ている限り、それは脈々と受け継がれているように感じるのである。無論、まだ間に合うという意味ではあるが・・・
 
 東北弁によるシェークスピア劇団、シェイクスピア・カンパニーの「新―温泉旅館のーお気に召すまま」も観る機会を頂いた。今回も、大いに笑わせて頂いた、感謝!

08.09.20 Emile H. Ishida

このページの最終更新日:2008年09月26日

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