種まき
杜に囲まれた青葉の山の中で一昨日、今年初めての鶯の声を聞きました。まだまだとても上手とは言えませんが、春の訪れを伝えてくれる嬉しい声です。
3月はじめに行われた人材養成ユニットの社会人入学試験で強い印象を受けたことがあります。試験は2日間に亘り、初日はいくつかの課題の中から一つを選び3時間掛けてそれに対する自分の意見を論文にします。例えば、『経済と環境のデカップリングのためには、あなたなら何をするか』というようなものです。2日目は論文を基にプレゼンテーションを行い、それに対して面接担当者らとの厳しいやり取りに耐えなければなりません。印象的だったのは、受験者の8割近くが、どの課題に対しても生活者、消費者の価値観の変革がきわめて重要だという結論を示したことです。企業は、商材を提供し生活者がそれを購入することで成り立っているわけで、如何に魅力的な商材を提供するか日々腐心している訳です。では、その魅力とは一体何でしょうか?人は、種の中で唯一欲望の遺伝子を持っています。これを、私は、『生活価値の不可逆性』と呼び、「一度得た快適性や利便性を容易に放棄できない、人だけが持っている欲望のDNA」と定義しています。言い換えると、より高い利便性や希少物(ブランド品やビンテージ品)を飽きることなく求めており、それに迅速にあるいは新しい切り口で対応することで、企業は利益を出し続けることが出来ます。この『生活価値の不可逆性』を肯定しながら循環型社会に貢献することが今必要とされる企業像ですが、これにはどうしても生活者の意識の変革が必要になってきます。企業は技術やサービスの中にこの意識変革の種を入れなければなりませんが、そういう待ちの態勢ではなく、もっと積極的に、直接的に生活者にアプローチして、意識変革をすべきだというのです。今まで、このようなアプローチは、利益に関与しない行政や公共的な立場での話が多かったので、とても新鮮な気持ちで聞かせて頂きました。
このコラム原稿を今上諏訪での仕事の帰りに書いています。昨夜乗せて頂いたタクシーの運転手さんが、地球温暖化の話をしきりになさっていました。LOHASという言葉なども市民権を得てきたようにも思います。足元は思った以上に固まりつつあるのかもしれません。(23/03/2006)
このページの最終更新日:2006年04月17日

