自然から学ぶことと循環型社会とのつながり
『自然に学ぶ粋なテクノロジー』(Dojin選書 化学同人、石田秀輝著)は、読めば読むほど味がでてくる本だと思う。人間社会がどのように地球環境問題をとらえて、何を考えて、循環型社会構築のために舵を取らなければならないかが書かれてある。
これまで人類は地球上で生存することを目的として、人間活動を拡大していったが、その拡大を制御することなく、限界を超えて肥大化してしまった。人類は方向転換して、ぎりぎりのソフトランディングをすることが可能なのか。この解を探すために考えなければならないのは、地球環境問題の構造、自然観、文明、文化、テクノロジー、経済社会システム、鳥瞰的視座であることを指摘した本である。
昆虫だけ考えればよいのではない。文化を守ることだけ考えればよいわけではない。経済システムだけ考えればよいわけではない。自分のことだけを考えればよいのではない。さらに、この本のメッセージは、「環境負荷を下げるために自然が保有する低環境負荷のテクノロジーを生み出すといいですね」、ということではなく、「人類生存の解があるとすれば、自然が保有するテクノロジーに文化的要素(例えば、「粋」)をのせるという考え方が鍵だ」、ということではないか。将来のものづくりの姿が浮かび上がる。
まさにこれが本ユニットで教育する環境リーダが共有すべき理念であり、独自のソリューション創出論である。この本は、大学教育の現場に限らず、企業や行政機関の新入社員教育や社内勉強会などにも有効であろう。
平成21年3月18日
古川 柳蔵
このページの最終更新日:2009年03月19日

