日本の良さ5<技術者の心>

<技術者の心>

内閣府の「社会意識に関する世論調査」(平成21年1月調査)によると、平成21年度に社会へ貢献したいと思っている人は、69.3%であった。つまり、10人中7人は、何らかの形で社会貢献をしたいと考えている。20年前は47.4%であり、社会貢献をあまり考えていない人とほぼ同じ割合であったことを考慮すると、日本人の社会貢献への意識は急激に高まっているのである。また、「個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ」と回答した人は56.5%であり、「国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ」と回答した人は27.8%しかいない。個人主義が進んでいるということをきいたことがあるが、この世論調査によると、国民全体の利益を大切にする人が4年前の37.1%と比較すると急増しているのがわかる。日本人の心の中は変化しているのである。

私がこれまで企業にいる顕著な成果を実現してきた数多くの技術者に、「なぜ企業で研究を行うのか」について尋ねてきた。自分のため、と回答する技術者はほとんどいない。「自分が研究開発した商品が世に出て、多くの人に使われるだけで、他に何もいらない」と回答する技術者が多い。個人が有名になりたいわけではなく、社会貢献をしたいのである。日本が技術立国と呼ばれるようになった原動力は、この社会貢献をしたいという技術者の心であると考えていた。上記の世論調査によると、この技術者の心が、一般の人々の中に拡大しつつあることを示している。

日本は環境立国になることを宣言しているが、環境立国に必要なものは、日本が技術立国に成長する原動力となった技術者の社会貢献を願う純粋な心ではないか。おそらく、日本人の心は社会貢献を願う方向へ向かっている。問題は、企業や組織が7割の日本人の社会貢献の実現の場になることができるかどうかである。社会貢献のため、国民全体の利益を大切にするための場を日本人に与えることができれば、その先にあるのは、まさに環境立国であり、技術立国であるに違いない。この技術者の心は、日本の良さの一つでもある。

平成21年7月23日
古川 柳蔵

このページの最終更新日:2009年07月23日

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